<当日①>何が起きたのか。
いつもと同じように朝7:00前。
夫はローマを連れ、いつもと同じように近所をお散歩。
いくつかあるお散歩コースのうちの一つを、いつもと同じように、
ただただ普通にお散歩をしていた。
あるお宅の前を通りかかったその時、お家から中型犬(北海道犬)が飛び出し、
ローマの首元に咬み付いた。
その犬の飼い主さんがローマから犬を放してくれたけれど、
ローマの首からは大量の出血。
200mほどのところにある小さな動物病院へ、夫はローマを抱きかかえて走った。
しかし、まだ早朝。
「開いていなかったら車で救急に運んでください!」と先方の飼い主さんへ叫ぶ。
シャッターを叩いて獣医さんを呼ぶが、早朝のため応答なし。
そこへ先方が車で来てくれたので、急いで乗り、
そこから10分ほどの救急の動物病院へ運ぶ。
その間も、出血は止まらない。
病院へ到着し、急いで救急の処置に入る。
そこへ、私が到着。
夫はひどい顔をしていて、立ちながら涙声で状況を説明する。
夫は、血だらけだった。
Tシャツもパンツも、靴下も靴も。
「緊急時は、飼い主の同意なしに処置を行うことに同意します」といった趣旨の記された
同意書を持ちながらも、
夫は当然ながら冷静ではなく、ただ見つめるだけでまともに読むことすらできていなかった。
先方の飼い主さんであるご主人もいて、
「申し訳ありません」と私に詫びると同時に、簡単に状況も説明してくれた。
出勤のため車に乗ろうと家を出たところ、犬が飛び出してローマに咬み付いた、
とのことだった。
普段は穏やかで、いつもは他の犬に咬まれる側だと、そんなことも言っていた。
私たちは、ただただローマの無事を願い、また早くお医者さんからお話を聞きたかった。
それを待っているだけだったので、ご主人には何度か帰ってもらって良いことを伝えた。
少しすると、先方の息子さんご夫妻が車で来て、私に一礼して詫びると、
タオルや着替えの入った紙袋を渡してくれた。
処置に入ってから30分くらいだろうか。
処置はまだ続いているようだったけれど、現段階での精算のため受付から呼ばれた。
ICUへの入院が確定であることや、今後も様々な検査が必要となってくることなど。
ざっと10万円少々であり、はじめに内金の支払が必要とのこと。
財布を取り出すと、先方のご主人が「全て私が支払いますから」と言い、
内金の支払を済ませてくれた。
また、名前と住所、電話番号を紙に書き渡してくれた。
今後、治療に関わる全ての支払をしてくれるということ、
ローマの状態や経過など、いつでもすぐに連絡をしてほしい、
といったことを言い、その場を後にされた。